人の健康を保護するとともに生活環境を保全する上で望ましい基準として、大気、水質、土壌の汚染や騒音について基準が定められています。この基準は、環境基本法第16条及びダイオキシン類対策特別措置法第7条に基づいた公害対策を進めていく上での行政上の目標を示しています。
基準値は、汚染物質による人の健康や生活環境への影響の程度と行政上の実現可能性を考慮して定められています。
用語 |
説明 |
一般環境大気測定局 |
都道府県知事等が、大気汚染防止法に基づき、大気の汚染の状況を常時監視するために設置する測定局のうち、住宅地等の一般的な生活空間における大気の汚染の状況を把握するため設置されたものです。二酸化硫黄、二酸化窒素、オキシダント、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、非メタン炭化水素などについて測定を実施しています。 |
自動車排出ガス測定局 |
都道府県知事等が、大気汚染防止法に基づき、大気汚染の状況を常時監視するために設置する測定局のうち、道路周辺に配置されたものです。二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、非メタン炭化水素などについて測定を実施しています。 |
硫黄酸化物(SOx) |
重油などのいおう分を含む燃料が燃えて発生する二酸化硫黄、三酸化硫黄などの総称です。四日市ぜんそくの原因にもなった物質で、粘膜や呼吸器を刺激し、慢性気管支炎など呼吸器系疾患をひきおこします。 |
浮遊粒子状物質(SPM) |
Suspended Particle Matterの略。大気中に浮遊している10μm以下の微粒子のことで、自動車の排気ガス中のすす、ほこり、ものを燃やすときにできる灰なども含まれます。吸い込むと肺の中に残留し、呼吸器系に影響を及ぼします。10μm以上のものを含めると浮遊粉じんといいます。 |
窒素酸化物(NOx) |
一酸化窒素、二酸化窒素の総称でものが高温で燃えるときに発生します。一酸化窒素は血液中のヘモグロビンと反応してまひ作用を引き起こし、二酸化窒素は肺に対する毒性が強いといわれています。 |
一酸化炭素(CO) |
有機物が不完全燃焼をすると発生する無色無臭のガス。自動車排ガス中などに含まれ、吸い込むと血液中のヘモグロビンと強く結びついて酸素供給を妨げ、頭痛、めまい、耳なりなどの症状があらわれます。 |
炭化水素(HC) |
Hydro Carbonsの略で、炭素と水素からできている物質の総称。塗装や印刷などの工程から直接大気中に放出されているほか他、自動車排気ガスにも多く含まれています。それ自体も有害ですが、窒素酸化物とともに光化学オキシダントの原因物質となります。 |
光化学オキシダント(Ox) |
大気中にある窒素酸化物、炭化水素などが太陽からの紫外線をうけ光化学反応を起こして作り出される物質の総称。眼や喉の粘膜を刺激したり、頭痛、中枢神経の障害を引き起こしたりします。 |
光化学スモッグ |
オキシダントによるスモッグのことです。春から夏にかけて日射が強く、気温の高い日、風が弱い日に現れやすく、オキシダント濃度が高くなると注意報などが発令されます。 |
微小粒子状物質(PM2.5) |
Particle Matter2.5の略。浮遊粒子状物質より小さい粒子で、粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子のことです。通常の浮遊粒子状物質よりも肺の奥まで入り込むため、ぜん息や気管支炎を起こす確率が高いといわれています。 |
ベンゼン |
化学工業製品の合成原料として使われ、ガソリンにも平均1%以下含まれています。中枢神経作用、皮膚、粘膜刺激等の一般毒性のほか、労働環境等の高濃度の暴露で白血病等の発ガン性が認められています。 |
トリクロロエチレン |
金属加工品の洗浄剤・溶剤などに用いられています。肝臓障害、粘膜刺激、中枢神経作用(鎮痛、麻酔作用)などの一般毒性のほか肝臓ガン等の発ガン性が疑われています。 |
テトラクロロエチレン |
ドライクリーニングなど各種洗浄剤や溶剤として使われています。肝臓・腎臓障害、中枢神経作用(めまい、協調運動失調)などの毒性のほか食道ガン等の発ガン性が疑われています。 |
ジクロロメタン |
金属加工品の洗浄剤・溶剤などに用いられています。肝臓障害、粘膜刺激、中枢神経作用(鎮痛、麻酔作用)などの一般毒性のほか肝臓ガン等の発ガン性が疑われています。 |
ダイオキシン類 |
廃棄物の焼却や紙の塩素漂白工程などから非意図的に生成される共通の構造をもつ有機塩素化合物の一種です。動物実験などから、発がん性や生殖器の異常などに影響を及ぼす毒性が強い物質である、といわれています。 |
有害大気汚染物質 |
低濃度であっても長期的な摂取により健康影響を生ずるおそれのある物質をいい、該当する可能性のある物質として248種類、そのうち特に優先的に取り組むべき物質(優先取組物質)として23種類がリストアップされています。【優先取組物質→アクリロ二トリル、アセトアルデヒド、塩化ビニルモノマー、塩化メチル、クロム及び三価クロム化合物、六価クロム化合物、クロロホルム、酸化エチレン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、水銀及びその化合物、ダイオキシン類、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、トルエン、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、ベリリウム及びその化合物、ベンゼン、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒド、マンガン及びその化合物】 |
ppm(Parts Per Million) |
100 万分の1を示す表示で、大気汚染や水質汚濁の汚染物質の濃度を表示するのに使用する単位のことです。1ppmは1立方メートルの大気中に1立方センチメートルの物質を含む濃度です。 |
ppb(Parts Per Billion) |
ppm(100万分の1を示す単位)の1000分の1、すなわち10億分の1を表す単位のことです。 |
ppmC |
空気中の炭化水素類の濃度を表す単位です。炭素原子の数を基準として表したppm値のことです。例えば、大気中のプロパン(C3H8)1ppmの濃度は3ppmCとなります。 |
Nm3/時 |
温度が0℃であって、圧力が1気圧の状態に換算した1時間当りのガス流量を表す単位のことです。 |
TEQ |
毒性等量のことです。一番毒性の強いダイオキシンを1として、その他のダイオキシン類は実測濃度に毒性等価換算係数を掛けて単位としています。 |
環境基本法 |
公害対策基本法に代わって平成5年11月に公布・施行された、環境政策の新たな枠組みを示す基本的な法律です。環境の保全に関する基本理念を明らかにするとともに、地球環境時代に対応した国・地方公共団体、事業者及び国民の責務などについて、総合的に定めています。 |
典型7公害 |
環境基本法で指定された大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭という典型的な7つの公害のことです。 |
総量規制 |
環境基準を達成するために、特定地域内の個々の工場を単位として、排出される汚染物質の総量(排出される量と汚染物質濃度の積)で規制する方式です。大気汚染や水質汚濁に関する従来の規制方式では、排出ガスや排水に含まれる汚染・汚濁物質の濃度等を対象としていましたが、それだけでは望ましい環境を維持できない場合に、総量規制が行われます.総量規制には、大気汚染防止法(硫黄酸化物と窒素酸化物)、水質汚濁防止法(COD)に基づくものの他、公害防止協定により規制対象や内容を強化したものもあります。 |
上乗せ基準 |
ばい煙、汚水などの排出の規制に関して地方自治体が条例で定める基準であって、国が定める基準よりも厳しく設定されています。 |
ばい煙 |
物の燃焼などに伴って発生する硫黄酸化物、ばいじん、その他カドミウム、窒素酸化物などをいいます。 |
降下ばいじん |
大気中の粒子のうちで自重または雨で地表に降るものをいいます。 |
酸性雨 |
大気中に排出された硫黄酸化物、窒素酸化物などが空気中の水分あるいは雨と作用し、雨水が酸性化されたもので、通常pH5.6より低い場合をいいます。欧米では、森林被害や建物の崩壊被害が出ています。 |
オゾン層の破壊 |
フロンガスは、大気中に放出されると、長い間分解されず成層圏にまで達し、オゾン層を破壊します。オゾン層は、太陽からの有害な紫外線を吸収し、地上の生物を守る役割を果たしているため、オゾン層が破壊されると皮膚ガンなどが増えると言われています。 |
逆転(温度逆転)層 |
通常、大気の温度は上空ほど低いのが普通ですが、気象条件によっては逆に上層ほど気温が高くなることもあります。このような大気の層を逆転層といいます。逆転層ができると、大気にふたをしたような状態になり、大気中に放出された汚染物質が対流によって拡散されないため、大気汚染がひどくなる傾向がみられます。 |